86レースに参戦しているマシーンが入庫しました。
クラッシュをしたと報告を受け、待機すること数時間車輌が到着しました。
損傷範囲の確認の為、車輌を一周確認すると・・・
ドライバーにケガもなっかということで、思っていた程の損傷ではありませんでした。
板金塗装職に慣れてしまうと、そうそう事故車を見ても動じなくなってしまいます。
修理項目は以下のメニューになりました。
・フロント、リアバンパー交換
・左アッパーサポート交換
・フロント右左フェンダー交換
・左ドア、左クォーター板金
・右ドア、右クォーター交換
・左フロント足回り脱着調整分解、ロアアーム交換
その他、バンパーサポートやリテーナーなどショートパーツは交換していきます。
見積りの段階で80万円くらいになります。
ここで重要なのはレースカーということでです。
精密な修理はもちろんですが、車輌重量を考えなければなりません。
板金すればもちろんパテも塗りますし、塗装によって塗料分の重量が増えます。
極力パテは塗らないで板金でカバーし塗装の塗膜も薄くする高度な技術が必要になります。
早速、フォロント部の修理にかかります!
フロントは左前にかけて衝撃が集中しています。
ヘッドライトやバンパー、フェンダーなどを外していき寸歩を測ります。
その後、どこをどのように引っ張り出すのか基点を探します。引っ張る為の道具はタワーと言われるチェーンブロックを使用します。
すいません・・・ここで引っ張っている画像を撮り忘れました。参考までにクオーターを引っ張っている画像をお見せします。
このように、チェーンブロックを徐々に引いていきます。言うまでもないですがこの時反対側は固定されています。
ある程度、形が整いボディ寸法図通りの寸法になったらスポット溶接されて箇所を外していきフレームをとります。
最近の車は超高張力鋼板(板金業界では「超ハイテン」と言われています)で固いので
スポットをもむ際は特別なスポットカッターと言われる刃を使います。
この際パネルは重なり合っているので上面のみドリルでもみます。↓の画像のようになれば上出来です。
※超高張力鋼板とは通常の鉄の3倍以上の強度を持っている為、従来の鉄の1/3の量になりま。
(その為、鉄板は薄くとても板金は難しいです)
アッパーサポートを外したら、新品のパネルに変えてバイスで固定して仮止めをして寸法を測ります。
数値はボディ寸法図通りピッタリでした!
ここで余談ですが、フレームの損傷がヒドイ場合(エプロンやサイドフレーム)、
直線距離寸法図・平面投影寸法にて三次元計測などを使用してジグと言われるフレーム修正機を使ってフレーム修正をしていきます。
※直線距離寸法は計測位置間を直線で計測する方法
※平面投影寸法は平行なボディの下面を基準として平面上で計測する方法。
計測後、溶接をして塗装をして完了です!
本来であればドリルビスで固定をしてヘッドライトやバンパーを仮付けするのですが、
そこは、するかしないか経験がものをいいます!
今回はここまで、次回はクオーター交換です。